01 / FIELD NOTE

この村では何が起きている?

SimHubはレーシングシミュレーターなどからテレメトリを取得し、外部ディスプレイ、LED、オーバーレイへ表示するために使われる。界隈ではDDUと呼ばれる小型ディスプレイやスマホへ、回転数、ギア、燃料、ラップ、タイヤ情報などを表示する。どの情報をどこへ置くかは車種やシム、実際に使う画面サイズによって変わるため、完成済みDashboardがデータ商品として販売される。外から見ると『メーターのスキン』だが、実際には走行中の視認性と情報優先度を設計したUIである。

02 / WHY IT EXISTS

なぜ、これだけで市場になるのか

シムレーサーはハンドル、ペダル、リグ、ディスプレイへすでに大きな投資をしており、実車に近い操作環境を作ること自体が趣味になっている。ゲーム標準HUDを消し、物理DDUへ必要な情報だけ出したい人にとって、Dashboardは完成度を上げる最後の部品になる。自分でSimHubの画面を組むこともできるが、テレメトリ項目、条件表示、LED、解像度調整まで理解するのは面倒で、人気車種向けの完成データに支払い需要が生まれる。

03 / WORKFLOW

実際の仕事はこう進む

  1. 01

    対象シムと車種を決める

    Assetto Corsa Competizione、iRacingなど対象を決め、取得できるテレメトリ項目を確認する。同じ名称の値でもゲームごとに取得方法や更新頻度が違うことがある。

  2. 02

    運転中の情報優先度を設計する

    ギア、RPM、燃料、デルタ、タイヤ、フラッグなどを、視線移動が少なく瞬時に読める位置へ置く。情報を増やしすぎると運転中には逆に読めない。

  3. 03

    条件表示とLEDを組む

    回転数に応じたLED、警告、ピットリミッター、フラッグなどを条件式で切り替える。車種ごとのレッドラインや表示習慣へ合わせる部分が商品差になる。

  4. 04

    物理デバイスで検証する

    PC上のプレビューだけでなく、実際のDDUやスマホの解像度・輝度・距離で視認性を確認する。走行中に読めるかが最終品質になる。 さらに、昼夜や視野角の違いでも重要情報が埋もれないかを走行中に確認する。

04 / MONEY

どこに金が流れる?

EtsyなどではSimHub Dashboardや関連データがダウンロード商品として販売されており、物理製品ではなく設定・画面データ単体で市場が存在する。1件の単価は大きくなくても、人気車種、シム、画面サイズの組み合わせごとに派生商品を作れるのが特徴である。シムレーシングは周辺機器への支払い意欲が高い層を含むため、完成度の高いデータはハードウェアの補完商品として位置づけられる。

05 / INSIDER VIEW

外から見ると見落とすこと

重要なのは見た目の再現度だけではない。実車風に美しくても、走行中にギアやフラッグが読みにくければ価値が低い。また、同じDashboardでも使用するディスプレイの縦横比や解像度で崩れる。テレメトリ項目がシム側から取得できるか、車種固有値があるかという技術制約もあり、単純なFigmaデザイン販売とは違う。

06 / AUTOMATION

AI・コードでどこまで削れる?

Dashboard制作はテンプレート化しやすい。対象シム、車種、画面解像度、表示したい項目を入力すると、レイアウト候補、フォントサイズ、条件式の叩き台を生成できる。人気車種の実車メーター画像から配置を抽出して再現支援することも可能だが、ロゴや意匠の権利には注意が必要である。市場としては完全自動生成より、既存Dashboardを複数解像度へ変換し、条件式を検査する制作支援の方が堅い。

07 / ENTRY ANGLES

外からこの村に入るなら

  1. 特定のDDU解像度に絞り、人気シム×人気車種のDashboardを少数精鋭で作る。対応範囲を狭くするほどサポート負荷を下げられる。
  2. 既存Dashboardをアップロードすると、別解像度へレイアウトを再配置し、文字切れや要素重なりを検査する変換ツール。
  3. 物理DDU販売者向けに、自社画面サイズへ最適化したDashboardパックをOEM的に提供する。ハード販売の付加価値として組み込みやすい。
08 / CAVEATS

この市場を雑に扱うと危ない点

  • 実車メーカーのロゴ、メーターデザイン、チーム素材をそのまま商品へ使う場合は権利関係を確認する。
  • シムやSimHubの更新でテレメトリ名・挙動が変わる可能性がある。販売後の更新方針を決めておく。
  • 画面サイズと解像度差のサポートが膨らみやすい。対応デバイスを明示し、何でも対応を避ける。
09 / EVIDENCE

この市場があると判断した根拠

最終確認: 2026-09-25