この村では何が起きている?
ココフォリアはTRPGのオンラインセッションで使われるツールで、卓を始める前に背景画像、前景、キャラクター駒、情報パネル、BGM、シーン切替などを配置する。界隈ではこの完成状態を日常的に「部屋」と呼ぶ。外から見ると単なる画面レイアウトに見えるが、シナリオの雰囲気、秘匿情報の出し方、参加人数、KPレスかどうかによって必要な構成が変わるため、素材だけでなく「すでに組まれた部屋データ」自体に価値が生まれる。BOOTHでは無料版と有料版を併売する商品が多数あり、100円台から数百円台のデータ商品として流通している。
なぜ、これだけで市場になるのか
この市場が成立する理由は、TRPGの楽しさと準備作業の性質がずれているからだ。参加者が楽しみたいのは物語と会話だが、KP側にはセッション前に視覚素材を探し、サイズを合わせ、情報を隠し、場面ごとに切り替えられる形へ整える作業が発生する。しかも「それっぽく置けばよい」わけではなく、HOの扱い、PC/KPCの表示、タイマンか複数人卓か、シナリオの色調など界隈固有の文脈がある。ここに、汎用素材だけでなく「すぐ使える部屋」「特定人数向けの差分」「シナリオに合わせた部屋制作」という階層的な需要が生まれる。
実際の仕事はこう進む
- 01
シナリオを分解する
本文から登場人物、場面、公開情報、秘匿情報、判定タイミング、エンディング分岐などを拾う。単純な画像制作ではなく、セッション進行上いつ何を見せるかを把握する工程が最初に必要になる。
- 02
画面構成を決める
前景、背景、PC/KPC枠、メニュー、情報パネル、チャット補助などを配置する。タイマン、2PL、KPレスなど遊び方によって必要な表示領域が変わるため、テンプレートの使い回しだけでは足りない。
- 03
素材とシーンを組む
画像素材を読み込み、場面ごとの表示状態やBGMを設定し、進行順にシーンを保存する。素材の利用規約が異なる場合は、組み合わせた状態で再配布可能かも確認しなければならない。
- 04
実卓で破綻しないか確認する
PC人数の変更、画面サイズ、秘匿情報の見え方、シーン切替時の表示漏れなどを確認する。完成品として売る場合は、購入者が追加素材を差し替えやすい構造にしておくことも商品価値になる。
どこに金が流れる?
お金が動く場所は大きく二つある。ひとつはBOOTHなどで販売される汎用の部屋データ・素材セットで、100円から数百円程度の小額データ商品を多数売るモデル。もうひとつは、特定シナリオや依頼者の希望に合わせて一式を組む制作代行である。前者は在庫型、後者は受託型で、同じ技能から両方の商品を作れるのが特徴だ。素材単品より「もうできている」「投げれば使える」ことに対価がついている。
外から見ると見落とすこと
外部の人が見落としやすいのは、見栄えより進行との結びつきである。ココフォリア部屋はWebデザインの縮小版ではない。KPがいつクリックし、何を開示し、プレイヤーがどこを見ればよいかという運用が組み込まれて初めて使いやすくなる。また、他人の素材を組み込む場合は再配布や商用利用の条件が重要で、見た目だけ真似してZIP化すればよいわけではない。この規約理解まで含めて界隈知識になる。
AI・コードでどこまで削れる?
自動化余地はかなり大きい。シナリオPDFやテキストから人物名、場面見出し、公開情報、秘匿情報、BGM候補を抽出し、部屋データの叩き台を生成するところまでは機械化しやすい。さらに、1PL/2PLなど人数を指定してレイアウトを切り替える、色調から素材候補を提示する、シーン一覧を自動で作るといった補助も考えられる。一方で、シナリオの演出意図や素材規約の最終判断は人間側に残すべきで、完全自動生成より「準備時間を半分以下にする編集支援」の方が現実的である。
外からこの村に入るなら
- シナリオPDFを読み込ませると、登場人物・シーン・公開情報を抽出し、ココフォリア用の部屋構成案まで作る「下ごしらえツール」。完成品を自動生成するより、KPが最後に演出を決められる設計にする。
- タイマン、2PL、4PLなど人数と雰囲気だけを選ぶと、著作権上安全な自作素材だけで構成した汎用部屋セットを生成・販売する。季節物やホラー、近未来などテーマ別に在庫化しやすい。
- 既存の部屋データを読み込み、使っている素材、シーン数、命名、再配布リスクを一覧化する監査ツール。制作代行者向けの業務ツールとしても成立する。
この市場を雑に扱うと危ない点
- シナリオ本文や公式素材を許諾なく再配布しない。部屋データに含めてよい情報と、購入者自身が用意すべき情報を分離する必要がある。
- BOOTH素材は商品ごとに加工・商用利用・再配布の条件が違う。複数素材を混ぜた完成ZIPの販売では、最も厳しい条件を見落とさない。
- 「部屋の美しさ」と「セッションでの使いやすさ」は別物。操作手順や秘匿情報の扱いを実卓で確認しないと、見栄えだけの製品になりやすい。
この市場があると判断した根拠
最終確認: 2026-09-25